「なあ…左近。知って、いるか?」

溶けてしまいそうな宵闇の中、仄かに白い寝床に縫い止められ、
深くまで左近を銜えこんだ三成は、その細く小さい躰に過ぎるほどの快楽に潤んだ瞳を悪戯気に輝かした。

「何が…です?」
「んっ……はぁあ………ぁぅ……んぁ…っ」

問いながら軽く腰を揺すれば、散々吸われ吸うた紅き唇から漏れるあえかな吐息は熱く、甘い。
もっと揺すって鳴かせ泣かせて、声が枯れて血が出るまで啼かせてみたい気持ちが左近の胸の内に沸きあがったが、
それを咎める様に背に回された手が左近の結わいた一房を引っ張った。

「話……さ、せんか……この、馬鹿者……」
「相済みませんな、左近も一杯一杯なもので」
「戯言を」

皮肉気に笑う三成の瞳は潤みきって、左近を朧に映す。
堪えきれずに目尻から伝うその涙を舐めれば、涙の味か肌の味か、ほのかに甘く感じた。

「南蛮の方では……狂女は、愛しい者の、首…を欲するそうだ」
「首、ですか?」
「んっ……ぁ」

左近の問いに先に食いついたのは、声音よりも淫らな体。
胎内に侵入している雄をきぅと締めれば、二人同時に快楽の淵に落とされる。

「あの、殿……左近は本当に限界なのですが」

左近が眉を顰めて、三成に懇願するように抱きしめれば、
それすら快楽に変わるのか恍惚とした吐息と、左近の背に髪に絡む細い腕。

「んぁ………多分、だが……石田の、何代か前に…南蛮の血が混じってる…と、思う」

だが恍惚とした色に満ちた吐息が囁くのは、現状で言うにはあまりに奇妙な言ノ葉で、
善がりすぎて何処か吹っ切れてしまったのか、と心配になった左近は一度離れようとしたが、
腰に絡まった細い脚がそれを許さずに左近を求めている。
こうなった三成はまず引き離せない、ならば、と下に敷いた主を手早く起き上がらせ、抱きしめやすくする為に座位にすれば、
当然三成自身の重みが加わった分、先の体位より左近が深く胎内に埋まり、三成は声にならない嬌声を上げながらより左近にしがみ付いた。

「殿……大丈夫、ですか?」

そう優しく問いながら夜目にも鮮やかに映る、日ノ本には珍しい紅味が強い髪を撫でる。
感触が心地いいのか、過ぎた快楽に震えながらも三成は、猫の子のようにうっとりと瞳を細め、甘えるように左近に擦り寄る。

「はっ……ぅ……今、お前が触って…る髪や、お前が弄る、肌……は南蛮、らしいだろ……?」

蕩けた喘ぎの合間に紡がれる言葉は、幼い秘密を吐露するような響きを左近の耳に与える。

「だから、かな……?」
「………殿?」

三成はするりと首を一周、触れるか触れないかの距離で撫で、左近の頬に己が両手を充て自分を見つめさせると、
底無し沼のようなほど、どこまでも甘やかに

「俺はお前の首が欲しい」

と囁いた。
驚いたのか理解できぬのか、囁かれても全く表情を変えぬ左近に、三成はうっとりと微笑んで、くたりと持たれかかる。
しっとりと馴染む、少し熱い肌が快い。

「俺は、お前の………左近の首が、欲しい………ああ、狂うたかな?でもこれも、左近のせいだ…」


お前が愛しくて
愛惜しうて
いっそ殺してこの腕で抱えられたら



この想いは、細い体で表すには大きすぎる情熱なのだ


「………左近として申し上げるなら」
「ひっ……!?ぁ………やっ、さ、こ………ぉ……!!!!」

左近の言葉と共に揺すられ、抽挿された快楽に、三成は名すら呼べぬほどに善がり狂った。
元々、ギリギリの淵にいたのだから、呆気ないほど楽に底無しの快楽に落とされる。
三成が本能的に全身で左近にしがみ付き、またそれで得られる快感に溺れた。


「殿の願いを叶えると、殿をこのように善くさせられなくので嫌ですな」
「や…んっ……ぁ!……さこ……あ…ああっ!!」
「ですが」

左近は三成の肩を掴み、必死にしがみついている主を剥がし、顔を覗く。
情欲に耐えきれずに流れる涙も、熟れたように染まった頬も、乱れに乱れた髪も、
過ぎた悦ゆえに言葉すら紡げぬ唇も、恍惚からか不安からか耐えまなく揺れる瞳も、
全てが左近にとって愛おしく、そしてかなしい。

「その時が来たなら、差し上げますよ。左近の首を」

殿の望みを、左近が断るわけないでしょう?
そう囁けば、驚きの後に蕩けたように笑む三成の瞳。
肩に置かれた手が髪を掬い、後ろ首に、そして腕が左近の太い首に回る。

「はっ……ぅん……ぅに…?」
「ええ、真に」

まともに呂律どころか喋る事も出来ない主の問掛けに応えてやれば、回された腕が、縋るようにも慈しむようにも感じられる。
その柔かさを感じたまま、二人は愉悦へと沈んでいった。







誰も知らない、昔々のお話です

ある時代、ある場所
一匹の狐の殿さまがおって
その狐には鬼の武者がついておったそうな

狐の殿さまを大層、慕った鬼は
狐の殿さまの為に生き、
そうして殿さまの為に死のうとしたそうな

殿さまの敵と戦い、敗れ、
それでもなお、その名に相応しい戦いを、殿さまの為にした鬼の武者
しかし鬼が息絶えようとしたその瞬間
春の霞の様に、鬼は敵の目の前から忽然と消えたそうな


………今も狐の殿さまは、その鬼の首を持って、現をさ迷うているそうな………







慶長5年10月1日、京・六条河原にて石田三成、斬首。

─────その筆頭家老の首は、今も直、見付かっていない。





後書き

という名の言い訳コーナー(コレ)

エロなのかグロなのかホラーなのか何なんだよ!! ……と書いた本人から全力でツッコまれている作品。
初・無双武将オンリー創作だというのに……というか初さこみつだってーのに……これですか……OTZ


というかですね、これ
三成女体化のつもりで書いてたんですよね。
や、乳の描写とかないですが……でもエクスカリバー(隠語(笑)の描写もないのはそのせいです。
だから「南蛮の女」うんぬんとか出してきたんですよー。でも「南蛮の血」からとも取れるようには書いたので、まぁお好きなように…。

いくら無双だからといって流石に「南蛮の血が混じってる」はやりすぎかなぁと思ったのですが、
でも無双の三成は純粋日本人に見えない……!赤毛とか言うにも無理がありすぎる……!
あ、ちなみに浅井の王子に至っては
純粋西欧人にしか見えない。
アイツが日本人なんて誰が認めるか………!!(や、長政様好きですよ?)


首を欲す女というイメージは王道ですが、オスカー・ワイルドの「サロメ」から。
後、Sound HorizonのElysion。Yieldよりもライブ版のBaroqueの方で。あのバロ子(あらまりさん)は超輝いてる…!!


07/06/14/up


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