豪華絢爛としか称せないほど素晴らしい着物に
これまた同様の帯に体を包まれ

髪は優しくも複雑丁寧に結い上げられ
化粧もほんのりと上品に施される








顔に触れる優しい翼君の指を感じつつ瞳を閉じたまま、私は現状に至るやりとりを反芻してみる。






『そういえば翼君って和服の着付けできるのよね?
 男ものも出来るの??』
『いや、俺は女ものしか出来ない。
 俺が着るのならば永田がいるし、男に着せるシュミはない!』
『………なるほど』
『……悠里、着物が着たいのか?』
『え、いや……』
『着 た い の か ?』
『…………………………うん、着たい……か、な?(………着せたいのね、翼君)』



そんなトリップをしているうちに、最後の仕上げの紅が刺されていて、
『終了だ、目を開けていいぞ』の声に誘われ、瞳を開ければ、目の前には満足そうな笑顔の翼君。

「It's so beautiful……!さすが俺だ。
 悠里をこれほど美しくできるのは、全世界を探そうとも悠里を知りつくしている俺だけだな」

そんな自信過剰な言葉も、翼君にプロデュースされた自分を見てしまうと頷けるというものだ。


「………成人式の時より綺麗だわ」

下手に慣れないものだからか、全身鏡の中の自分が本当に自分なのか疑わしく感じてしまう。
私の呟きを聞いて、翼君はフフンと得意気に鼻を鳴らして言った。

「トウゼンだな。今の悠里は俺のLoveを受けているのだから、出会う前より今の方が美しいのは当たり前というものだ」

その言葉に思わず頬を赤らめると、『恥じらう様もまた可愛いな』と甘い声で囁かれてますます赤面してしまう。

「でも翼君、本当手際いいわね」
「元々、モデルのバイトもしていたしな。着付け自体に慣れている方だと思う」
「あ、そうよね。センスもいいし、髪とかメイクも上手いし、プロになれそうね」
「この俺がproduceするのはお前だけだ、悠里……」

そう囁くと、翼君は私にキスをした。
驚いている間に深く口付けられて、甘いそれに翻弄されてしまう。
と、同時に感じる手の動きは何やら不穏なもので………。

「……ちょ…ちょっと、翼君……!」
「? どうした、悠里」

口付けの合間に必死に声を出すと、翼君は不思議そうに私を見る。
と、いうか近すぎ……!息があたる!!
私を覗き込む瞳はギラギラした………男の瞳。
それに映る私は既に蕩けそうだ。

「き、着たばかりでしょ?何でもう……ぬ、脱がそうとかしてるわけ?」
「何だ、着たままがいいのか?結構、スキモノだな」
「ちっがーうっ!!!」

思わず翼君が学生時代の時のようにツッコミすると、ニヤリと意地悪く微笑みながらも、
先程のキスの余韻で崩れ落ちそうだった私の腰を拐うように支えて抱きとめる。ああやっぱりかっこいい。

「………悠里、知らないのか?」
「な、何が??」
「男が女に服を贈るのはな」

先程のキスで移ったのか、微かに紅に彩られた唇での微笑みは
そりゃあもう壮絶に美しくて、私から抵抗する意識を根刮ぎ奪っていく。

「脱がすためなんだぞ?」


その言葉が聞こえると同時に、はらり、と帯締めの紐がほどかれた。





VitaminX in Web拍手用に書き上げたけど、短文にしては長い気がして普通にアップ。
モバイルで発覚した「翼は和服の着付けが出来る」というのに対して、翼ぼったまはなんつーエロい技能をお持ちなのかと小一時間説教したい。
永田さんグッジョブ!!!


07/05/18/up



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