ともし火を探しに、出かけた。
 冬の夜は暗くなるのが早い。
 オレ・・・ミルは、ともし火を探しに朝から外に出た。


 ろうそくをもらった。
 都会にいる友達からともし火の代わりになるろうそくを、十本くらいもらったのだ。
 早速、オレは小屋に帰り、ともし火を灯す場所を探し始める。

 小屋の中だし、中は狭い。
 大体、たたみ六畳で、端にベットと小さめの机が一つずつ置いてあるくらいだ。
 仕事をするには良い環境だ、なにせ邪魔する物が周りに無いし。


 ・・・だが。


 オレは正直言って、こういう物を何処に置けば良いのかさっぱりだ。
 ・・・そんなお前は馬鹿だ、とはどうか突っ込まないで見逃してほしい・・・。
「ミル、こんばんは〜。」
 都合良過ぎでっせ、お客さん。
「なあ、買ってきたのはいいんだけど・・・こういうのはどこに置けば分からないんだけど・・・。」
「うん、貸して。」
 オレはろうそくをお客さん・・・チルに手渡す。
 もとはと言えばチルに、ともし火になる物を設置したら? ・・・と言われたのだ。
 確かに夜は暗くて、日が暮れないうちに仕事が終わらなかった時は苦労した。
 終わらなかったら、日が昇る前の明るくなってきた時に起きて、昼までに終わらせないといけない。
 仕事というのは、考察レポートだ。資料を元に書かないとならない。
 昼までに考察レポートを渡すと、また新しい資料が配られる。
 一度でも違反すれば、減給は間違いないからそういう訳にもいかない。
「ろうそくの台は買ってこなかったの?」
「あ、買った時にもらったよ。」
 言われてオレは、要求された物を手渡す。
 チルは、壁の方に動かしてきた椅子に乗り、天井近くのところに台を取り付ける。
 取り付ける・・・と言っても、なんか壁に突き刺しているような気もするけど・・・。
 チルに手で合図されて、オレはろうそくを一本手渡した。
 ろうそくを台につけ、チルは火を灯す。
 そういや・・・オレは机を使って仕事をしているのに、なんでそんな高いところに取り付けたんだ・・・?
 よく考えれば、机の上に置いた方が良かったと思うけどなー。
 ・・・そんな些細な疑問を前に、考えていても埒が明かないので、チル本人に聞いてみた。
「えっと、それはね・・・。
 あんたの事を思って、よ。」
「・・・意味が分かんないよ。」
「だから〜。
 例えの話で、『ともしびのたとえ』というお話があるの。
 暗いところを明るくするのなら、見栄えの良いところに普通は置くでしょ。これはそれと同じなの。
 いくら机の前に座って仕事しているからって、机の上にともし火を置いたって全部見渡せないでしょ、机は端っこに置いてあるんだし。
 だから、暗いところがないように見渡せる位置に置くのよ。分かる?」
「・・・それは・・・、分かったけど・・・。」
 高いところに置いた事は分かったけど、まだ引っかかる事がある。
「それと、例え話はどういう関係があるのさ?」
「だから言ったでしょ、あんたの事を思ってって。
 一つのところに捕らわれちゃだめ、何事も先の事を考えるのよ。
 このともし火は、火をともす事によってこの部屋の全てを見渡せるようになるように、あんたもひとつの事だけを考えないようにね。
 仕事をしてお金を貯めて、叶えたい夢があるんでしょ?」
 チルは言いながら、だんだん恥ずかしくなってきたのか、気づかせまいと努力している様子と、顔が真っ赤だったのが見て取れた。
 オレはそんなチルを見て、静かに笑った
――



 一つの事に縛られている。
 言われてみれば、図星だった。
 最近、仕事でかなり忙しかったためで、友達とは全然連絡を取っていなかった。
 これでは今まで考察レポートを書いていた意味がなかったなと思い始める。
 自分の事ばっかり考えていても、オレの目指す叶えたい夢には到底辿り着けないと思った。
 なんて言ったって目指しているのは、人の心を動かす作家だからな。


 おしまい。


学校での後輩である「みるじた。」のピコちゃんからオリジナル小説を頂きました〜♪
かわいいですよねぇ〜、心温まるほんわかストーリー☆
最後の台詞がかっこいい!!目標目指して頑張れ、ミル!!
ピコちゃん、ステキなハートフルオリジナルストーリーありがとう!!!

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