「天保十二年のシェイクスピア」
9月9日〜10月22日/9月10日に観劇
会場・シアターコクーン
演出・蜷川幸雄
脚本・井上ひさし
役者・唐沢寿明(佐渡の三世次)、篠原涼子(お光&おさち)、藤原竜也(きじるしの王次)
    夏木マリ、高橋恵子、勝村政信、木場勝己、白石加代子他実力派豪華キャスト
備考・NINAGAWA VS COCOON FINAL。蜷川さん初の井上演劇。


席が前から二列目右より中央というメチャクチャ良席だったので、役者さんの顔が普通に見えます。

目がキラキラしてました、皆さん。素敵・・Vv(そりゃ照明の影響だよ)


最初、舞台は西洋っぽい劇場の形していて、これがシェイクスピアの王道ロンドンの「グローブ座」らしい。

舞台が開くのが、ブザーとかなく曖昧で、

音も無くシェイクスピア時代の西洋の服装をした人が数人、舞台でうろうろしてる。

最初、これ何の舞台だか忘れたよ。「シェイクスピア」だし。

でもこの劇は何せ「天保十二年」

彼らがはけると共にストーリーテラーである隊長(木場勝己)を筆頭に、肥桶を担いだ百姓達が左右の花道から出てきて、

「もしもシェイクスピアがいなかったら」を歌いながら、グローブ座を破壊しはじめる。

薄汚い百姓たちが一気に高尚なグローブ座を壊し、江戸時代の清滝に変えてしまう・・・。

ここからもうパワーがあって、思わず笑ってしまう力がある。

この演劇は「娯楽のための大衆演劇」 それを最初っから示してくれる。

それから清衡一帯の基締めである鰤の十兵衛(吉田鋼太郎)と長女のお文(高橋恵子)にその旦那よだれ牛の紋太(西岡徳馬)

次女のお里(夏木マリ)その旦那小見川の花平(壌 晴彦)、そして養子でもある三女のお光(篠原涼子)の財産分割シーンに。

これはリア王のパロディらしいですので、「どれだけ父親に孝行できるか?」で分割配分が決まるのですが

長女次女は本音を隠しておべっか言いまくり、口下手な三女は自分の気持ちを上手く言い表せず、

それで上手く言わせようと仕向けた父親の暴言に従い、家から出て行く・・・という具合になるんですが。

本音を先に客席に言ってから、おべっかを言うんですが。

長女次女、すごいです(笑)

人間、口だけで何とも言えるんですね。といわんばかりの変わりよう。

お里は本音のアバズレな喋りと、ぶりっ子っぽい喋りのギャップがおもろいです。夏木さんグッジョブ。



で、とりあえず財産はお文とお里に二分化されて、各旦那をリーダーに仕上げてヤクザの二勢力ができるわけですが・・・

そこでの客引き合戦が終了後、右の花道から佐渡の三世次(唐沢寿明)登場。

素でたまげました。喋るまで、三世次に気付かなかったんだよ私ゃ。

唐沢さん、カッコイイ!!!!!!

顔にただれた(何か油壺かぶった時に出来た火傷らしいが)メイクしてるんですが、かっこいい!!

かっこいいとかいっちゃいかん役なんですがねー・・・唐沢さん自体が色男だもん、ムリ(ひどい)

ここで三世次がさりげに己のイチモツ自慢をしつつ、「清滝を引っかきまわして、あわよくば俺のモノにしちまおう。うぇっへっへ」

みたいな事をいいつつ、とりあえず女郎を勝って前祝?に一発かますわけですが・・・

・舞台で生乳でした。むにょんむにょんと舞台の上で豪快に揉んでましたよ。を。

百姓隊でもふんどしなので、男の生尻を堪能してたのですが、生乳はショックとは違って・・・なんでしょう。

「おお、これが昔のアングラでよくやられてたという露出かぁ」みたいな?ちょっと違う。

初めてだったのでなんとも言えずにを見てました(見るなよ)



んで舞台変わってお文とお里の家。互いに互いを「さっさと潰しちまおう」と考えてるんだけど、

旦那達がどーもやる気がないので二人ともイライラ。

んで、いい感じにお文は旦那の弟の蝮の九郎治(西岡徳馬)と

お里は行き倒れてて花平に拾われた用心棒の尾瀬の幕兵衛(勝村政信)とデキてまして、

二人とも愛人そそのかして自分の旦那を殺させちまいます。なんつー女達だ。

旦那は二人とも気が弱くて、常識人でいい感じだったのに・・・・紋太はここで殺されて、花平を殺そうと思って

お文と幕兵衛は謝って鰤の十兵衛を殺してしまいます。

(十兵衛は孝行されずにほったらかされてたので、お里にたかりに来た矢先の出来事だった(お文には場面最初にたかってみて、失敗してます)

で、互いに互いの殺しを相手方(紋太殺しを幕兵衛、十兵衛殺しを九郎治)に罪をきせて煽ります。

冷静に考えればおかしいとわかるんですがね。この作品に常識人はいないので(辛うじて隊長が常識持ってる)このまま話は続きます。

この次のシーンで閻魔堂の老婆(白石加代子)の幕兵衛(+三世次)の予言。

このとき三世次に老婆は「一人で二人、二人で一人、そんな女にゃ気をつけな」みたいな予言を下すんですが、

この時点じゃ特にわかりゃしないのでまぁほっといて・・・。

で、この老婆の予言「幕兵衛万歳!あんたは清滝を手に入れるだろう」を聞いた幕兵衛のお里の旦那・花平殺しがあるわけですが・・・

幕兵衛がここで気を触れてしまって(「幕兵衛は眠りを殺した!」という幻聴のため)、九郎治のせいに出来ない。

さあピンチ!で三世次登場。うまく立ち回って、彼らの信任を得ます。

ここでのナンバー「ことばことばことば」は彼の役としての特色立ち振る舞いを表してます。

大物な悪じゃないけど、小悪党でもものすんごく頭がいい。そんな感じ。これに彼の世間での生き方を反映させてますなぁ。



ここらへんで話の進行に120%関係ない、桶屋の佐吉(高橋洋)のシーンに。

彼が桶を作りつつ、ゾッコンLOVE(古)な浮舟太夫への馴れ初めから

「今季に年季明けするから、佐吉さんの嫁にしてくれんすか?」と言われてることに対しての

惚気を延々と聞かされます。ぶっちゃけうざ(死)

ここでの見事さはノミの打つ音響と彼の演技のタイミングのよさ

劇自体の狂った雰囲気に染まらない、いい意味での馬鹿さ。観客も舞台も一服できます。

ちなみに彼の母親である飯炊きのおこま婆(白石加代子)が出てきますが、これはマザコン&子離れできない母親・・・??

そういうところは現代に通じるかも。




一服終わった後は本編に(まるで佐吉はいらない扱いかい自分(まぁ実際に彼はいなくても話は進むのでいらないっちゃいらない)

お文と紋太の一人息子でロクデナシ・きじるしの王次(藤原竜也)の帰省(父親殺されたから)

ここでの宴会シーンが猥雑でいい感じv

エロエロと評判らしいが大したエロじゃない気が・・・ああ、でも今の時代じゃエロイか?エロイな。

昔のアングラだったら序の口なんだろうが、「かわいい竜也がすきっ(はぁと)」なおじょーさん方にはあれでもショックなのかも。

あ、ちなみにここ、宴会シーンなんで、酒飲んで吹くシーンがあったんですが、それ、客席にぶっかけるので、

一列目の方、レインコートをお持ちください(アトラクション扱いか貴様)

二列目の私にもかかりました。左腕にちょっ、って。ぎゃあ、汚い(殺されるぞ貴様、竜也ファンに)

でもそういう感触あると、「ああ、ここに役者さんがいて私も舞台の一部になってるんだなぁ」とか思えて嬉しいね。うん。

ここでまた女郎相手に一発かましてる時に、父・紋太の亡霊が登場。

っつってもこれは前のシーンで三世次がスカウトした紋太によく似たただの百姓なんですがね☆

三世次のカンペの元、王次に自分が殺されたことの真相を語る亡霊(百姓)。

ですが百姓自身がバイトくんなので、

彼が知らない事をいう度に自分で「ええ!?そうなんですか?」と三世次に聞いては、

三世次に頭をはたかれるそのサマが可愛らしかったです。

ここで真相を知った王次、九郎治に復讐を誓います。

それよりあの亡霊に対しておかしいとか思えよ、とかいいたいところですが

だからこの劇に常識人いないんだって(爆)

この後、まあ九郎治のお目見え&王次のきじるし露見に値するんですが、詳しいことは飛ばします。

ただしここで特筆したいのは

王次の色っぽさ!!!

この時のきじるしっぷりは素晴らしく色っぽいです!!!婀娜っぽいの。玄人女みたいでVv

この後に、王次が歴代To be, or not to be that is the question の和訳を矢継ぎ早に言うんですが

隊長の説明の入れ方や、補足の入れ方が絶妙でいい感じです。最後のオチがわけわかんなくて笑える。

そして王次の許婚・お冬(毬谷友子)が彼が本当に「きじるし」なのか確かめに来ますが、

「きじるし」を演じる王次の台詞に打ちのめされた挙句、これを覗き見ていた父・ぼろ安を王次に殺され精神が壊れてしまいます。

「自分が美しいと知っている女が貞淑なはずがない。尼寺へいけ、さもなくば女郎屋へいけ!」という王次は

このときはまだお冬が好きそうなのでちょっと苦しそうまぁ、すぐに良心の呵責もなくなるわけですが!最低だね☆

この後に、行方不明になっていたお光と王次が賭場場でばったり出会って、互いにフォーリンラヴ(死語)になったりしたり、

紋太組は花平組に殴りこみに行った際に馬鹿ップルやったりとまぁ、きじるしっぷりを発揮してくれます。

(ちなみにこの背後に閻魔堂の老婆含む、妖しい魔女達の暗躍もあるのですが(惚れ薬っぽいのを二人に使ってます)それはそれ、これはこれで)

馬鹿ップルしてる時に両頭が出てきて、「新しい代官が来るからとりあえず一時休戦」って言って、一幕完。







 

二幕目。

代官(原 康義)迎えての花見のシーン。ここでお冬が入水自殺、そしてお文、九郎治、王次が殺されます(それで済ますな)

ここでは篠原さん、大活躍。

と、いうのもお光は双子で、双子の片割れ・おさちが代官の嫁で、しかも一人二役なので

着替えては出て、着替え直しては出て・・・と大変大変そうでした(言葉が変)

で、それと同時に振り回される周りの面子

(例として王次がお光と間違えておさちに絡んだり、またお光をおさちと思って話しかけてけちょんけちょんに代官がいわれたり)がアホい。

格好が違うから普通に見て「別人説」浮かべよ、とか思うのですが

だからこの劇に常識人は(以下略)

この時、お文とおさち(お文はお光だと勘違いしてる)の二人のシーンがあるんですが、

高橋さん、マジで宴会用の食べ物食べてました。

たまに食べ過ぎて口いっぱいになってました、それでも台詞はしっかりしてますさすがプロ。つか食うなや。

腹減ってたんですかねー・・・?

このシーンでまぁ、かき回そうと三世次が来るんですが、ここで三世次がお光(おさち)に惚れてる事がわかるんです。

が、私は「え、いつの間に知ったの、二人のこと?」と思わずにいられませんでした。ちょっと突拍子過ぎてついていけなかった。

人死にがたくさん出ている宴会場にひょこひょこ桶担いでやってきたのは、桶屋の佐吉。

「母さん、隣町まで棺桶届けに行くから晩飯いらないわ」みたいな事言う佐吉におこま婆が

「棺桶なんて隣町に届けなくても、ここだけで2つ必要だよ・・・!」みたいな事いう所が納得いって笑えました。

確かに隣町の死体よか、目の前の死体だよね♪




次はまたまた話の流れ的には関係まったくナッスイィングな佐吉。

「もうそろそろ太夫が俺ン所に来てくれる〜♪」タダでさえオバカな頭が、さらに春増量中になってます。

一人で惚気るだけならまだしも、母親が色々「年増なんじゃないのか?病気持ちじゃないの?」とちょっかい出しても

全て惚気で返すという春っぷり。ああ、馬鹿やなぁ、うん、オバカ。

ですが仕事はしなきゃいけないので、桶を届けに仕事に出ます。

その間に佐吉の家に、浮舟太夫(毬谷友子)が到着。その姿を見ておこま婆、仰天。

浮舟太夫は道中、無事に着く為に乞食の扮装をしているのですが、そのままの姿だと誤解していまう。

その時のおこま婆の台詞「こんな瘡かき乞食に花魁が務まるんだったら、私にだって金が稼げるよ」は子離れできない母親の台詞っぽいな。

息子のため、というより、息子を取られる自分のための台詞っぽい。

そこでついた嘘が「佐吉は死にました」、でマジで信じた太夫はおこま婆が適当に連れてった

佐吉の墓(実際は誰か知らない人の墓)の前で自害してしまいます。

自害してすぐに佐吉が慌てて浮舟を探しに墓地に来ます。「気を悪くしないでくれよ太夫!太夫、どこにいるんだ!?」と一通り探し終わった後、

見つけたのは自害して事切れている浮舟。それをみた佐吉の気の触れ方が凄かった!!!

とにかく叫んで、辺り駈けずり回って、もう、何をすればいいのか、何を言えばいいのかわからないで

とにかく動くその悲しみ・怒り・気の触れ方はすごかった!

(最後は掘り掛けの墓穴にまで落ちるし(それで佐吉死んだかと思ったよ)

で、最後、佐吉は浮舟が自害した小刀を使って首かっきって死んでしまいます。

・・・この舞台は最終的に全員死ぬ作りになってるんですが、この二人は生きて幸せになってほしかったなぁと素直に思える。

他の人は少し自業自得ちっくだったり、因果応報だったりするけど、こいつらだけはただの「悲劇」だから。

特に佐吉が「愛すべき馬鹿」そのものだったので、そう感じるのかもしれません。

が、劇中で見てると全てがギャグに見えてしまう罠があり、そんなことまるっきり感じませんがね!!哀れ、佐吉&浮舟。




これから花平一家が辺りを牛締めるんですが、三世次の策略により幕兵衛&お里が死に、

またうまく立ち回り敵(兄貴分の利根の河岸安(鈴木豊)におさちの旦那の代官など)や思い通りに行かない人物(お光)を

全て丸め込み蹴散らし蹴落とし殺し、最終的には御家人株を買って代官の地位まで上り詰めます(かなり飛ばしましたが)。

しかも代官の地位を得る時におさちまで手に入れてます(しかし肉体関係はなかった)

しかしこれはおさちの復讐で、おさちは三世次に南蛮鏡で彼の姿―――せむしで、足が弱く、顔に火傷を負っているという醜い姿を見せ付ける。

それで気が触れた(気ぃ触れる奴らばっかだなこの劇)三世次は南蛮鏡を破壊。そこ欠片を使い、おさち自害。

で、あまりの悪政で百姓たちの怒りを買った三世次は家に攻め入られ、

「馬を引け、馬を。いや、天馬だ!!」と叫んでいるところを八つ裂きにされ、終。

 

カーテンコール時は、お化けが額につける三角形のあれをつけた登場人物が墓穴から這い出し、ノリノリで

「もしもシェイクスピアがいなかったら」を歌いつつ幕。

この「もしもシェイクスピアがいなかったら」開幕時は最後の言葉が

「もしも シェイクスピアがいなかったら これから始まるはずの このお芝居もここでおしまいさ」

だったのに閉幕時は

「もしも シェイクスピアがいなかったら このお芝居も できやしなかったのさ」(微妙にうろ覚え)

になってるんですよ(確かですが)。細かい。

このときメチャクチャ体ふりふりしてた王次が可愛かったです。あまりのふりふりっぷりに彼しか見てませんでした。




で、カーテンコールは4回。最後はほとんどスタンディンオーベーションでした。

で、私は多分、3回目の時に立ち上がったんですが、このときまだ下の階の前の方は立ってた人いなかったんですよ。

しかもこの時の私の服装、すっごいコスプレくさい感じの格好でまぁ、目立ってまして・・・

それにほら、私、まだ高校生じゃないですか?(やってることとか内面とかおいて置いて)若いんですよ、観劇界じゃ。

しかも二列目真ん中に近い席。

それなので、ハケてる途中に唐沢さんが目をつけて・・・

わざわざ戻ってきて、私をいじってくれました。

うぎゃあああーーーー!!!!唐沢さん、かっこいーー!!!!!

目を合わせつつ、何か「ちょいちょい」って犬猫を呼ぶような仕草を舞台上でやってました。

私、固まって、拍手したか手を振ったか覚えてません。ダメ人間。

そんなダメ人間な私の反応が初心に感じたのか、笑ってハケてしまいました。

思わず、唐沢さんハケた後、立ってた後ろの人に『私?ねぇ、私??』と視線やってしまいました。にこにこ笑われました。

それだけで飽き足らず、隣の兄ちゃん(もちろん知らない人)に「スタオベっていいんすよね?」と聞きました。

「いいと思いますよ」と返されました。何だコレ。





いや、うん、これだけで最高ですよ!!!舞台吹き飛びかけたもん!!!(ダメだろ)

上からも随分目立ったらしく、二階席の母&祖母に「唐沢さんにいじられたでしょ?いいな〜」といわれました。

いいだろ!!(自慢すな)



こんな感じでした。

ここまで読んで下った方、お疲れ様&長々とありがとうございました!!!


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